佐賀のペット便利帳:犬の飼い方、健康管理など HOMEサイトマップお問い合わせ

いぬらいふ・ねこらいふ:人と動物の生活応援サイト

トップページアニマルセラピーアニマルセラピー vol.7

アニマルセラピー

「その胸に・・・」

抱っこした犬のぬくもりがうれしい季節になりましたね。

先日、クッキーを連れて、ある特別養護老人ホームへ月一回の訪問活動に行った 時のことです。

デイルームに、通所者、入所者合わせて20人くらいのお年寄りが、椅子や車い すを円に寄せて待ってくださっていました。この日の活動には、クッキーも含め て3頭の犬が参加して、膝の上に抱かれたり、足もとで伏せたり、ボランティア に抱かれたまま撫でてもらったり、それぞれのお年寄りの望む形でのふれあいを 楽しんでいただきました。

ふと気付くと、その円のはずれに小さな机を置いて、二人のお年寄りがそこに 座ってこちらを笑顔で眺めています・・・。隣にいた職員と目が合うと、「犬が 苦手な方たちなので、ここから見るだけにしておきますね。」とおっしゃるの で、それでは・・・と、クッキーをその方たちから見やすい位置に連れて行っ て、“お辞儀”や“オマワリ”や“セッセッセ”などのお得意芸を披露してお見せしま した。お二人とも手を叩いて喜んでくださって、少しでも楽しめるようお役に立 てたかな?と、私もうれしくなりました。

 半時間ほどのふれあいを楽しんで、また来月も来ますネ!と、名残惜しみなが らお別れした後、活動の反省会で、そのお二人のことを聞いてみました。(写真 1)お一人は、「犬を見るだけならかわいいと思うけれど、近づくのは怖い。」 とおっしゃる方でしたが、もうひと方は、実は大好きなんですが、「昔飼ってい て亡くしてしまった犬のことを想い出すのがつらいから、さわりたくない。」と おっしゃる方なのだそうです。なんだか、ちょっと胸が痛いような感じがし て・・・そして、昔勤めていた施設で出会ったあるおばあさんのことを思い出し ました。

私は施設に勤めていた頃、本物そっくりに作られた赤ちゃんの人形を抱いたりあ やしたりしながら感情や認知、記憶、コミュニケーションの力に揺さぶりをかけ るという「ドールセラピー」にも取り組んでいました。認知症が重度でも、ほと んどの方がそれが本物でなく人形であることはちゃんと理解されています。それ でも、「昔取った杵柄」で上手に扱って、まるで本物の赤ん坊をあやすように揺 り動かしながら笑いかける姿は、大人として遊び、「ゆとり」を回復される貴重 な瞬間でもありました。

まるで生きている赤ん坊を扱うかのように、隣の人へ大事に抱き渡していく中 で、もうじき百歳を迎えるというあるおばあさんの手に渡った時でした。・・・ 目を閉じ人形の顔に頬を寄せ、両手でぎゅっと抱きこんだままじっとしているか と思うと・・・じんわりと、その閉じた目に涙があふれて来たのでした。難聴と 重度な認知症のため、日常の簡単な会話すらもかみあわなくなってしまっている 方でした。

ギュッと抱きしめたまま・・・しばらくして一言、「子が帰って来 た・・・」絞り出すようにそうつぶやきました。そして、また一層腕 に力を込めてギュッと抱きしめたかと思うと、顔を上げ、私に人形を差し出しな がら「死なせた子を想い出すから、もういりません。」・・・そう言ったのです。

この活動に参加していただく方については、過去の子育てに関する経験を把握す るように努めていますが、この方が赤ん坊を亡くしてしまっていたことは知るこ とができず、申し訳ないことになったかな、と少し悔みました。他の方が人形を 抱く様子を笑顔で見ておられたのでお渡ししたのですが、胸に抱いたその感触 は、悲しい記憶を生々しく呼び起こすことになってしまったのでした。激動の時 代を生き抜いた百歳の人生には、家族にも語れないような封印された記憶もたく さんあるのかもしれません。

その後、もう二度とその方の胸に人形が抱かれることはありませんでしたが、他 の方があやす様子は、いつも傍でニコニコと眺めておられました・・・

「亡くした犬を想い出すから、さわりたくない。・・・」

その犬がどれほどかけがえのない存在だったのか、痛いくらいに伝わってきます。

「見る」だけなら抑えられる感情も、「抱く」と溢れ出してくるでしょう・・・。

この方とは、これからも少し距離をあけながらの「ふれあい」を続けていきます が、もしもご自分から、触りたい、抱きたい、というお気持ちになられることが あれば・・・そう願う気持ちも持ち続けていたいと思います。

でも、たとえ今後ずっと、私たちの犬と直接ふれあうことができなかったとして も、それはそれでいい・・・。

いつか、虹の橋のたもとへ行った時、きっとそこで待ちわびている“わが子”を、 この方は、その胸に思いっきり抱きしめることができる・・・そう、思うから。

Sponcered by From A Village Co., Ltd
[お問い合わせはこちら] [会社案内]